第49回運輸安全マネジメントメールゼミ
49回目のメールゼミをお届けします。
前回は、
「記録の管理」についてお話ししました。
記録とは、
結果を残すもの・事実を記すもの は、
当然の作用として、自社を守ってくれるものでしたね。
今回は、実際の記録の管理方法について、
ISO9001・ISO14001・ISO22000の
審査の場や、運輸安全マネジメント運用において
実際に私が遭遇した話を説明していきたいと思います。
事例1:電子管理なのに記録が・・・
この事例は、10年くらい前ですが、
ある、大手企業にISO9001の審査に出向いた時の話です。
その企業は、IT関連の業務にも長けているだけあって、
ISO9001運用の記録も全てパソコンのサーバー上で
電子管理を行っているのです。
今では、電子管理の企業は結構あるのですが、
10年以上前ですから、「さすが!」という感じでした。
ただ、審査を始めてビックリ。
こちら(審査員)が要求する記録が、中々、提示されないのです。
例えば、
「○○年●月●日の検査の記録を拝見します」
と、お願いしても、
サーバー上のどのフォルダにあるのか
良く判らず、目的の記録が見つけられないのです。
そのようなことが続き、私もしびれを切らして、
「記録の管理の要求事項として、
“容易に検索できること”がありますよね」
と。
受審企業としては、このシステムを稼働させて間もないので
操作する方が慣れていないとのこと。
まぁ、気持ちはわかりますが、記録の管理としては問題ですし、
第一、審査にならないのです。
さすがに、不適合にはしませんでしたが、
観察事項として残してきました。
事例2:電子管理なのに記録が・・・
あれれ?
“事例1”と同じですね。
そうです。
“事例1”は、10年くらい前の出来事でしたが、
この“事例2”は、2011年の
ISO9001・ISO14001審査での
出来事です。
この企業も記録がサーバー上のどのフォルダにあるのか
探せないのです。
ただ、“事例1”の企業と原因が違います。
担当者が変更になったため記録が迅速に提示できないのです。
ISO9001では、
“担当者が変更した・交代した”は、一切理由になりません。
だれでも、同じように作業できることが
要求されていますよね。
これは何もISO9001だけではなく、
当然、運輸安全マネジメントも然りです。
(当然、ISO39001も)
この、“事例2”の企業に対しては、
記録の管理について、不適合を出しました。
以上、記録の管理の不備の
ほんの一部の事例を書きましたが、
今回のメールゼミで私はナニを皆様にお伝えしたいのか?
前回のメールゼミで、
“記録は自社を守るモノ”と説明しましたね。
例えば、労働者の不注意により
労災事故が発生した場合、
「当社は、当業務について、ここまで教育訓練しています。
これが、その教育訓練の記録です」と
提示できることが重要なのです。
ナニか問題が起きた場合、
記録の提示を求められるまでに時間がある場合は、
記録を探す時間がたくさんあったり、
場合によっては、記録を作ってしまう会社もあるかもしれません。
(これは、法令違反ですよ)
でも、記録を即、提示しなくてはならない場合も
多々あるのです。
その時、記録を提示できるまでの時間が
長いほど、記録に対する信ぴょう性は低くなります。
(担当者不在は、理由になりません)
そうです!
自社を守るためのツールとしての機能が落ちるのです。
これは大問題ですね。
食品業界のISO22000(食品安全マネジメントシステム)では、
トレーサビリティーの記録(追跡管理の記録)を
30分以内に全て、揃えることが要求される場合もあります。
(食品輸送を行っている運送業者さんも注意してください)
私も、
ISO9001の審査では、製造のトレーサビリティの記録は
ロットを指定した後、翌日若しくは6時間後に揃えていただくことを
指示しますが、
ISO22000の審査では、同様の記録を
30分以内に揃えて頂くよう、指示します。
この場合も、
記録が“容易に検索できること”を実現していれば
カンタンですよね。
次回は、記録の管理の実例の続きです。
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