第24回メールゼミ
こんにちは。
運輸安全ドットコムの山本です。
24回目のメールゼミをお届けします。
前回から、マネジメントシステムの基本である
PDCAについて事例を元に
お浚いしていますね。
前回の4つの事例を確認してみましょう。
1 壮大な構想を打ち立て、
その構想を全社員に発表するが、
それっきりの会社・・・仮にA社とします。
2 疲れて仕事から帰ってきたご主人のために、
今まで作った事のない御馳走を作ったけれど、
その料理の味見をしない奥さん・・仮にB子さんとします。
3 配送先で荷物を引き渡すとき毎回、
誤配であることに気がつくドライバー・・・
仮にCさんとします。
4 思い付きで即、投資して、いつも損をしている投資家
・・・仮にDさんとします。
今回は、“1”の事例のA社について説明します。
A社は、PDCAのうち、
「P:Plan:プラン:計画」だけで
終わってしまう会社ですね。
俗に言う
「計画倒れの会社」や
「三日坊主の会社」です。
新年度の事業方針で、
「今年は、事故削減を目指して全力を尽くすぞ!」と
意気込んで、計画を立てるのですが、
上手くいかないのですね。
あなたの会社でも
計画の“壮大さ”に差は有るでしょうが、
心当たりがあるのではないですか?
では、
「計画倒れ」や「三日坊主」にならないためには、
どのようにしたらよいのでしょうか?
その前に、
まず、「原因」をもとに
「対策」を考えてみましょう。
なぜ、「計画倒れ」や「三日坊主」になってしまうのか?
原因=
1 計画が甘い(目的、目標、実施手段があいまい)
2 計画が書面になっていない(文書化されていない)
3 計画をチェックする人がいない
“1 計画が甘い”とは?
そもそも、目標が甘いことが原因と考えられます。
例えば、目標を「事故削減」とした場合、
“削減”とは、どの程度の削減なのですか?
昨年の事故件数より、1件でも少なくなればよいのですか?
また、事故件数の“事故”とは、どのような事故のことですか?
もらい事故も含まれるのですか?
ひどい場合だと昨年の事故件数自体、データがあいまいな場合が
あります。
これでは、昨年と今年の事故データを比べようがないですよね。
また、目標が明確であっても、その目標を達成するための
計画(達成手段)があいまいであると問題です。
例えば、「事故削減」という目標達成のために、
具体的に、いつ、だれが、どのような事を実施するのかの
計画があいまいであれば、当然、目標達成も難しいでしょう。
目標達成ためには、
具体的な目標、
詳細な計画(達成手段)を
立案するとよいでしょう。
以前のメールゼミでも説明しましたが、
運輸安全マネジメントの目標も
達成度の判定可能な具体的な目標であることが
必要ですね。
“2 計画が書面になっていない”とは?
ヒトは、頭の中だけで考えるよりも
書面にすることにより(文書化)、実行力が伴います。
これは、書面にすることによる拘束力が
出来るからかもしれませんね。
この“拘束力”が出来ることにより、
「自分に対する約束」となり、
“やらざる得なくなる感”が芽生えるのでしょうか。
ですから、
「今年はコレをやるんだ!」と決めた場合
その、「計画」「目標」「達成手段」等を
わかりやすい表現で書面にすることが必要でしょう。
“3 計画をチェックする人がいない”とは?
計画を、運用して、チェックするためには、
計画のチェック機能が必要です。
計画立案者が自ら、チェックしてもよいのですが、
その場合、自分に厳しくないと
なぁなぁになり易いですから、
計画立案者以外の人がチェックを担当するか、
計画立案者自らがチェックする場合も
チェック結果を全社員に公開するしくみにすべきでしょう。
このチェックでの問題点は、
人は上手くいっている時はチェックも楽しいし
公表も楽しいという事です。
細かい数字については、
チェックしてみないとわからないかもしれませんが、
おおまかな事故件数や
計画の推移状況はだいたいわかりますので、
上手く運用できていない場合は、
つい、チェックもしたくなくなりますね。
その結果、「やりっぱなし」になるのです。
他にも、目標の達成が無理と判断した場合。
例えば、
「今年度の人身事故発生件数=1件」という目標に対して、
3か月経過後に人身事故が2件発生してしまった場合。
もう、最初の目標が達成できませんね。
それ、やる気を無くしてしまってズルズルズル・・・
スポーツ選手でもよく見られる傾向ですね。
優勝や上位進出が無理な場合は、そのままズルズル
ヒドイ成績になってしまうとか。
目標達成が無理となった場合、
目標を下方修正するなどして
目標に手を加えなくてはなりません。
先ほどの
「今年度の人身事故発生件数=1件」という目標に対して、
3か月経過後に人身事故が2件発生してしまった事例の場合、
目標を下方修正する必要があります。
例えば、
今後、「9ヶ月間の人身事故発生は0件(年間=2件)」。
そして、なぜ、3か月の間に
人身事故が2件も発生してしまったのかの原因を
徹底追及し、その後の展開に活かすのです。
ここまでして、
最低限の目標管理と言えるでしょう。
次回は、今回の続きで、
B子さん以下についてどうあるべきかを
考えてみましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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あおいコンサルタント株式会社
運輸安全マネジメント推進協議会
山本昌幸(ISO9001・ISO14001主任審査員、行政書士、
特定社会保険労務士、運行管理者)
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追伸(今回のオマケ):
私は、ISO9001やISO14001の
審査登録機関の検証審査員を担当しています。
検証審査員=審査員候補者やチームリーダー審査員候補者の
審査能力やISOの力量を検証し、認定する審査員のこと。
今回さらにISO22000(食品安全マネジメントシステム)の
検証審査員になるために
私自身が某外国から来た検証審査員の検証を受けました。
結果は、何とかISO22000の検証審査員として
認定を受けることが出来たのですが、とにかく大変でした。
英語はあまり得意ではないので、
通訳の方もいらっしゃったのですが、
日本独特の衛生管理の考え方を理解してもらうのに大変でした。
とにかく、今は、ホッとしています。
また、機会があれば、いずれお話しますね。
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