第16回メールゼミ
こんにちは。
運輸安全.comの山本です。
第16回目の「運輸安全マネジメント」メールゼミです。
前回までは、ヒューマンエラーの原因追求の事例を説明しました。
今回からは、ヒューマンエラーの原因追求や対策立案の際、
重宝する「SHELモデル」について説明していきましょう。
「SHELモデル」とは、5つの頭文字です。
それは、
L=Liveware(ドライバー本人)を取り囲んだ
S=Software(ソフトウエア)、
H=Hardware(ハードウエア)、
E=Eivironment(環境)、
L=Liveware(周りの上司、同僚、部下)
の事です。
図で示しますと
(メール文書ですので上手く図が表現できてなかったらスミマセン)
H
H L L
S
と、なります。
では、一つ一つ運送業にたとえて説明しましょう。
L=Liveware(ドライバー本人)は、そのままですね。
S=Software(ソフトウエア)とは、
作業指示、手順書、運行計画、教育訓練、
整備等のソフトにかかわること
H=Hardware(ハードウエア)とは、
車両、設備・機械、安全機器
(デジタコ、ドラレコ、バックアイカメラ等)
E=Environment(環境)、
天候、時間帯(夜、昼間)、温度、作業環境、車内環境等
L=Liveware(周りの上司、同僚、部下)
ドライバーに指示する上司、運行管理者。
部下、同僚、人的要素、組織風土
などです。
また、これら5つの間の関係に「溝」がある場合、
ヒューマンエラーが発生しやすくなります。
例えば、次のような事故の場合・・・
事例1
大雨にもかかわらず、晴れた日のような運転をして、
スピードを上げたためスリップ事故を起こした。
事例2
大雨にもかかわらず、上司が、
「絶対遅れないように!」とプレッシャーをかけ
スリップ事故を起こした。
「事例1」の場合は、
“L=Liveware(ドライバー本人)” と
“E=Eivironment(環境)” の関係が
上手く機能していなかった例ですね。
要するに、「ドライバー本人」と「環境」の間に
“溝”が出来て発生した事故ですね。
「事例2」の場合は、
“L=Liveware(ドライバー本人)” と
“L=Liveware(周りの上司、同僚、部下)” の関係に
問題があった例ですね。
これも、「ドライバー本人」と「上司」の間に
“溝”が出来て発生した事故です。
そして、厄介なのは、
「SHELの関係や状態は、日々変化する」 ということです。
L:ドライバー本人のドライビングテクニックも変わるし(向上、
衰退)、
S:運行計画や作業手順も変わります。
H:また、トラックやバス自体も入れ替えがあるし、性能も変わり
ます。
安全機器の装着や、性能の変化もあります。
E:天候や時間、作業環境も刻一刻と変化します。
L:周りの人間(上司や運行管理者、経営層)にも変化があります
前述のように、LやS等の単体でも変化しますが、
それぞれの関係も変化します。
例えば、「事例1」のような、
ドライバー(L) と 天候(E) の関係は、
変化する典型ですね。
SHEL単体や関係の変化に対することも
ヒューマンエラー対策=事故防止 として重要ですね。
そして、SHEL単体としての原因追求も非常に重要です!
「この事故は、車両部品の金属疲労が原因なのか?、
それとも、運転ミスと言うドライバーの原因なのか?」
このように、ヒューマンエラーの原因を追及するうえで
SHELは非常に重宝します。
また、更に重要なのは、
「事故発生」→「原因追究」→「再発防止」 です。
その
「再発防止」・・いわゆる対策を立てる際、
SHELで対策を立てればよいのです。
ところで、
「第14回メールゼミ」で説明した内容を覚えていますか?
その内容を引用してみましょう。
以下、第14回メールゼミの引用
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その前に、国土交通省で定義されている
「ヒューマンエラー」の定義である
1 意図した不安全行動
2 意図しない不安全行動
を再認識しましょう。
前回のメールでも書きましたが、
“1 意図した不安全行動”とは、
自分でもわかってはいるけどついやってしまう不安全な行い ですよね。
具体的には、
信号が黄色から赤に変わったけどそのまま直進 とか、
製造機械の安全装置を取り外したまま使用する ですね。
“2 意図しない不安全行動”とは、うっかりミス等ですね。
具体的には、
トラック発進時に安全確認を怠った とか、
ハッチを閉め忘れた ですね。
これら発生原因は、ヒューマンエラーを引き起こした
「本人」と様々な要因が絡み合って引き起こします。
では、その「要因」を分類してみましょう。
1「本人」と「機械・設備」の問題
2「本人」と「しくみ、作業指示等」の問題
3「本人」と「環境(作業環境、天候等)」の問題
4「本人」と「周囲の人々」の問題
それと、
5「マネジメント」の問題 もありますね。
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上記の「第14回メールゼミ」の内容で
1「本人」と「機械・設備」の問題
2「本人」と「しくみ、作業指示等」の問題
3「本人」と「環境(作業環境、天候等)」の問題
4「本人」と「周囲の人々」の問題
こそ、SHELモデル ですよ。
次のように表記すれば、わかりますね。
1「本人:L」と「H:機械・設備」の問題
2「本人:L」と「S:しくみ、作業指示等」の問題
3「本人:L」と「E:環境(作業環境、天候等)」の問題
4「本人:L」と「L:周囲の人々」の問題
「SHELモデル」という文言を
はじめて聞く方も多いと思います。
最初は、混乱しがちですが、実は、明快ですね。
今日はこの辺にしましょう。
次回は、今回のおさらいと、
「SHELモデル」のプラスαと
SHELと類似の考え方を説明しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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あおいコンサルタント株式会社
運輸安全マネジメント推進協議会
山本昌幸(ISO9001・ISO14001主任審査員、行政書士、
特定社会保険労務士、運行管理者)
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追伸(今回のオマケ):
今朝、駅に向かうためにタクシーを予約していたのですが、
予約時刻になってもタクシーが現れず。
いつもは、10分前には来てくれているのに。
5分ほど遅れて、やってきたタクシーの運転手さんが
言ってはいけない言葉を
「すみません。慣れていないので」・・・これって、禁句ではない
でしょうか!
実は、コレ、タクシー乗車時によく言われる言葉ですよね。
でも、チョット待って下さい。
“慣れていない運転手さん”=“タクシードライバーとして力量が
ない運転手さん”
ですよね。
実際、そこまでの深い意味はなく、単なる「言い訳」で
使った言葉ですが、どうも、ISOの審査をしていると
このようなことが気になってしまいます。

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